今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる





俺は動揺、不安……その全てを抱えながら、自分の体が横になると同時に、意識を手放した。







次に目が覚めた時、俺は古臭い教室にいた。




今時にない木製の机と椅子、どこか制服も今とは違うような………











『今日は、お前たちにこの志願書を渡す。

 今や大日本帝国の戦局は厳しいものとなってきている、今こそ日本男児として“お国の為に”“天皇陛下の為に”と、尽くす時が来たと思え。

 明日までに、保護者の同意をもらってこい』







それは、半ば強制的な物の言い方だった。



そして前列から回されてくる紙ー……






俺の手元にも一枚の紙が渡されるー……









“お国のため”


“天皇陛下のため”








周りを見渡せば、他の学生からも緊張感が感じられた。













『いいか。これは志願書とは言えども、“お国の為に”と尽くす覚悟がお前たちにあるかどうかを問う用紙だ。

 お前らが真の日本男児ならば、今ここで署名をするんだ』








教師と思われる人物はそう言って、黒板の方に体を向ける。




教師の言葉にすぐさま署名をする者、周りの様子を見て流されるままに署名するもの、なかなか鉛筆を動かせないでいる者もいた。









俺は、その手を動かすことが出来なかった。









いや、俺が入り込んでる体の所有者の手がー……












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