今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる








『清二、お前はどうするんだ?』






その日、学校で署名をすることが出来なかった俺に、いや体の所有者に、一人の男が声をかけてきた。











『…………俺は………』








『清二、お前は、この署名をするな』








『………でも……』









『お前の家族は幸子ちゃんだけだ。
 お前が戦地に赴くことになれば、幸子ちゃんは孤児になる。

 それに、雪はどうするんだ?』










………雪………




意識を手放す前に話していた、あの女の子……




確か、この体の所有者が“雪ちゃん”と呼んでいた。





もしかして………あの女の子のこと?













『………幸子は』





言いかけた、まさにその時ー……










『鬼畜米英。知ってるか、捕虜になるとな、男は八つ裂きに、女は辱めを受けるそうだ』







誰かがそう言ったー……





それは俺の耳にも入ってきた。










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