今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる








『……渡された長刀なんかで、女、子どもがどう米英と戦うんだ。

 俺たちなら……俺たちなら、出来ることがあるはずだ』








だんだんと戦局が悪いものになってきているのは、教師からの言葉でも分かる。














『俺たちなら、美しく咲き誇る桜のように、散り際も美しく出来る』






別の誰かが呟いた言葉も、俺の耳にも入ってくる。






“美しく咲き誇る桜のように、散り際も美しく出来る”





その言葉の意味も、俺には分からなかった。













『なぁ。俺達、日本男児の生き様を米英にみせつけよーぜ!

 “お国のために”“天皇陛下のために”そして……“俺達の守りたい者のために”…』







その言葉に、教室に残っていた全員がそれぞれが作った拳を上に突き出す。










“俺達の守りたい者のために”





その言葉を聞いた時、確かに感じた。




この体の所有者の心が大きく変わったことをー……










“女は辱めを受ける”、そう聞いた時から、この体の所有者が思ったことー……







“雪ちゃんは清くて、綺麗で、可憐で、そして本当に大切な人だから。

 彼女が苦痛に歪む顔を想像できない。ならば僕が出来ることは一つしかない”







その痛いほど、苦しいほどの決断が俺の心を掴んで離さないー………








誰かのために、


誰かの幸せのために、


誰かを思いやるからこその決断だから、


こんなにも心を掴まれたのかもしれないー………










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