今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる











『清二、お前は』





『守、僕もこれに署名する。

 僕が美しくも、美しくなくても散ることで、大切な人を、大切な人達の幸せが、笑顔が奪われないのなら、それは僕の本望だ』






そう言いきると、鉛筆を握りしめ、そして署名をする。




“鷲尾清二”、そう書かれた、志願書ー……









鷲尾清二………



聞いたことのある、名前だな………





どこで聞いたんだっけ………













『お前、雪に早く言え』


『言わない、言えない』




遮った言葉に、俺はこの体の所有者の心の声が聞こえてくる。







“言えば、雪ちゃんはきっと、悲しい顔をする。

 それを見れば僕の決意が意図も簡単に崩される。

 いや、本音を言えば、雪ちゃんと一緒に生きたいと思ってしまう。

 言えない、いや言わない…雪ちゃんの笑顔を守る為の決意を…”











『……黙って志願書出すつもりか。

 お前、雪の気持ち、知ってんだろ?』








『お前が突然居なくなったら雪は……。

 万が一、お前に何かあれば雪は壊れるぞ?』








続く、そいつの言葉に、眉間に皺が寄っていく。


唇はきつく結ばれていく。


そういう感覚が俺にも伝わってくる。









『雪ちゃんは、幼馴染。

 ただ、僕の方が恋愛感情として雪ちゃんを想ってるだけだから。

 だから、雪ちゃんは壊れたりなんかしないよ』











『……だったら、雪に言えよ。

 その志願書を出す前に、雪に話せよ、志願すること……』







そいつはそう言うと、くるりと背を向けて行ってしまった。








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