今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる







『あ、あのね?

 今日、鈴ねぇの誕生日でね………

 せいちゃん……絵を描くのが上手だったでしょ?

 だから絵をプレゼント出来たら、と思って……』








鈴ねぇ………



この人のお姉さん?




お姉さんの誕生日に絵をプレゼント、とか、普通に楽しい顔で話せばいいのに。



どうしてこの人はこんなにも悲しそうな顔をしてるんだ?













『鈴ちゃんの誕生日だね。

 二人で鈴ちゃんに絵を贈りましょう』







清二さん……は、そう言った。





清二さんは雪ちゃんってう人のこの顔に気が付いているだろうか。






俺はそんなことを頭の隅で考えながらも、ただ雪ちゃんっていう人を見つめる。













『どこで絵を描きましょうか?』





清二さんが雪ちゃんに背を向け、歩き出しながら問いかける。










『……海。

 小さい頃、みんなで遊びに行った、あの海がいい……』






背後で雪ちゃんがそう答えると、清二さんはその場で立ち止まり、くるりと雪ちゃんの方に振りかえる。










『……じゃ、海に行きましょう』









“雪ちゃんが望む場所で、望むように、そんな時間を雪ちゃんと過ごしたい…”











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