今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
『……始まりますね。
近所のお兄さんも学徒出陣されるらしいです』
『………26歳までの学生は微兵を猶予されていたのに。
どんどん年齢が下がっていく……それって………どこまで年齢が低くなるのかな……』
雪ちゃんは何かを知っているような。
雪ちゃんは何かを否定してもらいたいような。
そんな顔に見えるのは、そんな風に思えるのは、俺の気のせいなんだろうかー……
『……どこまでっていうものはないかもしれませんね。
要は戦地で使える兵隊が少ない、だから学徒出陣で補う………』
そこまで言って、清二さんの言葉が止まる。
それは、きっと、雪ちゃんの目から涙が零れていたからー……
『……雪ちゃん?』
『学徒出陣で補っても……減ったら、もっと若い男の子も戦場に行かなきゃいけないの……?』
雪ちゃんの言葉に、教室で渡された志願書を思い出す。
その志願書は“自ら少年兵として戦地に赴くことを願う”ということー……
それに署名をしてしまった清二さん。
『そういう時が来たら……そういう状況になってしまったら、そうかもしれませんね』
じゃ、清二さんの言う、“そういう時が来たら”“そういう状況になってしまったら”……それは今、ということ。
『………せいちゃんは……せいちゃんも………?』
『僕も、これでも列記とした日本男児ですから』
迷いなく答える清二さんに、雪ちゃんは出てこようとするはずだった言葉を呑みこむ。