今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
向き合う為の逃げ side清也
その言葉を吐きながら、清二さんは気持ち良さそうに眠る雪ちゃんの髪の毛に手を伸ばし触れた。
『…………本当にダメだ……。
この想いのままじゃダメだ。僕は雪ちゃんを守る、そう決めた。
心をこれ以上揺らしては……乱してはいけない……。
志願書は早くに提出をしてしまおう、そうすればもう揺るがない………』
鞄に閉まってあった志願書を取り出す。
目の前にその紙を持ってきて、その署名した文字を見つめる。
署名をして良かった、署名をして正解、そう何度も清二さんは心の中で繰り返していた。
『…………う………ん…………』
雪ちゃんがそう声を出し、瞼を開いていくー……
清二さんは急いで鞄にその志願書を閉まった。
『…………雪ちゃん?』
清二さんが呼びかけると、雪ちゃんは右に左に眼球を動かし、状況を掴もうとしている。
しばらくして雪ちゃんの焦点もあったのか、いつの間にか清二さんの膝にあった頭を勢いよくあげた。
『…………あ……えっと……』
『雪ちゃん、気持ち良さそうに寝てたね』
『……え……あ、ごめんなさい……私…頭重かったですよね……』
雪ちゃんの問いかけに清二さんは首を横に振る。
“頭の重みこそ、雪ちゃんといるのだと自分を幸せな気持ちにさせてくれた”
そう心の声が聞こえてくると、俺の胸を鷲掴みする。
『気持ち良さそうに寝ていて、寝顔が可愛かったよ』
“ありがとう。夢の中でも僕を登場させてくれて。夢の中の僕に“好き”って言ってくれて”