今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
『……ねぇ、せいちゃん。
せいちゃんは戦争に行ったりはしないですよね……?』
震える声、だった。
震える声で、雪ちゃんは問いかけてくる。
“雪ちゃん、明日、僕は志願書を提出します。
志願兵となり、戦地にも行きます”
『僕はまだ学生です。
雪ちゃんと同じ学生ですから、戦争には行きませんよ』
心の中の声と、口から発せられた言葉は違う。
俺はその違いに気付きながらも、きっと清二さんのことだ。
“行く”と言えば、雪ちゃんから笑みはなくなる……そう思っての嘘、だったんだろう。
『………いつか、この街も戦場になるのかな…』
雪ちゃんは項垂れながらも、そう言葉にする。
“そうはさせない。僕が例え死んでも、それでもそうはさせない”
『なりませんよ。日本は神の国です、そんなことにはなりません。
きっと今、戦場で戦っている軍隊が必ず勝利をあげてくれますよ、きっと』
“なんの為に僕が行くのか、それはあなたを守りたいから。
だから、僕が米英の国にでもいい、必ず米英を討つ……”
『……せいちゃんは学生だものね。
だから………ここに、この街に居てくれるのよね……』
今にも泣き出しそうな顔で、問いかけてくる雪ちゃんー……
『大丈夫。さぁ、鈴ちゃんのお祝いに行きましょう』
そう言って清二さんは雪さんと絡めている手に力を加え、雪さんの手をしっかりと握った。
その行動に、何かを感じ取ってくれたのか、あるいは応えようとしてくれたからなのか、雪ちゃんギュッと握り返しくれた。
両想いー……
けれど、この二人には“別れ”がくるー……
それも片方が、自分からそれを望んでー………