今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる








『雪ちゃん、荷物を置いてから向かいます。

 先に行っていてください』






清二さんの家と思われる民家までやってくると、清二さんは雪ちゃんにそう話す。












『じゃ、先に行きます。また後で』




清二さんの言葉を疑うこともなく、雪ちゃんはそう言って手を振る。



それを見届けた後で、清二さんは家の中へと入っていく。







玄関から入って、すぐ左の畳の部屋には仏壇が置かれていて、一人は軍人さんでも結構お偉いさんじゃないかっていうような格好をしている人の写真、その隣にはまだまだ若い女性の写真が飾られていた。






……清二さんのお父さん、お母さん……?





清二さんはその仏壇の前に腰かけ、そして線香をやる。












『お父様、お母様。

 大日本帝国は今、難しい局面に立たされています。

 僕たち学生にも志願兵募集がかかりました。


 お父様がハワイを攻撃なさり、開戦した戦争が日本を、僕の大切な人を苦しめています。

 僕は、軍人の息子として、軍人であったお父様を誇りに、そしてお父様と同じようにお国の為にと散る所存です。


 気がかりは幸子のことです。

 どうか、どうか、お空の上から幸子の身を守っていただきますようお願いします。

 それから………いえ、明日、この志願書を提出いたします』










亡くなったお父さんとお母さんへの報告、かー……




手を合わせた後、清二さんは仏壇の部屋にある丸テーブルの上に志願書を広げる。
















『……ごめんくださ-い』





志願書を出した後、すぐに玄関から声が聞こえる。











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