今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
『…………あ………ごめん……』
清二さんが謝ると、バツの悪い顔を見せる守っていう人。
『………守君と……本当に仲がいいんだね』
そう返す雪ちゃんに、清二さんの胸の鼓動が俺にも伝わってくる。
何事もなかったような顔をしているつもりだけど、もう志願兵のことについて雪ちゃんに知られている、それが清二さんの胸の鼓動を速まらせていく。
『………まぁ……』
『……仲がいいっていうか、腐れ縁みたいな感じだよな……』
清二さんと守るっていう人が答える。
『あ、俺……帰るわ……』
気まずそうに守っていう人が言うと、清二さんも外に出る。
『…………なんで今、二人にするんだよ』
守っていう人の耳元で清二さんが囁くと、そいつは清二さんに指をさす。
指を差された清二さんはその指さしにどんな意味があるのか分からず首を傾げる。
それにみかねた守っていう人が家の方を指さす。
それにそって清二さんが顔を指が差されている方に向けると、確かにそこにいたはずの雪ちゃんの姿が見当たらない………
まさか………
まさか………
清二さんと守っていう人が恐る恐る家の中に入ると、雪ちゃんは仏壇の前で手を合わせている。
『ふぅ………』
間一髪、もう少し気付くのが遅かったら……
志願書を見られていたかもしれない……
清二さんはまだ目を閉じて手を合わせている雪ちゃんに気付かれないように、そっと丸テーブルに手を伸ばす。
人差し指と中指が志願書に触れたと同時に、その日二本の指を器用に動かし、志願書を引っ張る。
そして思いっきり鞄に突っ込んだ。
それと同時に、瞼を開き、そしてニッコリと微笑む、雪ちゃん。
『…………せいちゃん、どうしたの……?』
何故だか清二さんも守っていう人も額からは汗が流れている。
それは雪ちゃんにこの志願書を見られたかも……と焦って、それで汗なんか出てるんだと思うんだけど。
『……………別に!』
清二さんにしては、かなり焦った言い方だったと思う。
そんな清二さんを雪ちゃんは首を傾げながら、清二さんを見つめた。