今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
『でもね、これは無謀な作戦で、多くの指揮官や参謀たちが大反対する作戦だった。
相手を討つ作戦、それなのにどうして大反対されたか分かる?』
母さんに問いかけられ、俺は頭を捻る。
無謀な作戦って言うからには負け戦ってことが最初から分かってた……的な?
『チンドウィン河と峻険なアラカン山脈を越えての作戦は必ず物資、食料の補給に息詰まると予想されていたからよ。
物資や食料の補給がなければ、そこで戦う人達はどうなるかしら?』
そりゃ……武器も食べるもんもなかったら……
戦う前の話になるんじゃね?
『最初から無謀すぎると言われた、この作戦。
けれど立案者の第十五郡司司令官であった牟田口廉也陸軍中将の強硬な主張が認められたの。
彼は現地の農民から一万頭以上の牛や羊を調達させる命を出し、それらの動物に物資を運搬させ、目的地に着いた後は食料にしようと考えていた。
牟田口廉也中将はこれを「ジンギスカン作戦」と呼び、自画自賛したという逸話があるわ。
そして……この作戦の無謀さは、なんといっても「敵軍の物資集積所を占領して、そこから食料や弾薬を補給すればいい」という考えがあったことよ』
ジンギスカン作戦はまぁまぁ……かもしれないけど。
何その、「敵軍の物資集積所を占領して、そこから食料や弾薬を補給すればいい」って……
確かに戦争な訳だし、相手を占領することは確かかもしれない……
けど、相手の陣地を占領出来なければ、どういうことになる………?