今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる




お母さんが鍵をかけたことを確認し、車に乗り込み、エンジンをかける。



久しぶりにお母さんの運転でどこかに出かける、何故か新鮮さがあった。




車の窓から流れていく景色をぼーっと見つめながら、私はまたあの夢を思い出していた。





私は何故、あんな夢を見てしまったんだろう……



何故、あんなにもリアルな戦時中の夢なんて……









『小雪、そう言えばさっき、あんた工場がどうとか言ってたけど。

 それ、どういう夢だったの?』




ハンドルを握り、時に右に、時に左に回すお母さんが不意に問いかけてきた。







『……目を開けたら、工場の中にいてね?

 辺り一面火の海、逃げ惑う人もいたり、すごい怪我をしている人もいるなか、私と同じくらいの男の子に助けられて逃げる夢……』






『何、その夢。火事の夢って昔からあまり良くは聞かないよ。

 もしかしてお父さんに何かあるのかしら………』





夢の内容的にも決していいことではない気がする。



お母さんはため息をもらしながら運転を続けた。







窓から流れる景色は少し緑が多くなっていく。




それからどの位走らせただろうか、ふと道の向こう側になにか大きい建物が目に入る。




倉庫なのか、何かの工場なのか……







『ね、お母さん!あの建物!』




私の突然の言葉に驚いたのか、お母さんが急ブレーキをかけた。








『なんなのよ、突然!そんな大きい声出したらビックリするじゃない!』






『……ごめん、けど、あの建物知ってる?』





お母さんの剣幕なんてどうでもいい……




だって、あの建物、まるで私の夢に出てきた建物に似てる気がするから……







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