今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
遺骨を確認できてない。
それって戦地から骨が帰ってくることができなかったってこと?
『お兄さんの清二さんは海軍に少年兵として入団して、戦艦大和に乗って、そして海に沈んだそうなの。
海中に沈んだ時の大爆発で……遺体を回収することが出来なかったそうよ。
帰ってきたのは白木箱だけ……縁故疎開していたお婆ちゃんがその知らせを聞いて帰って来た時には中身の入っていない白木箱だけ。
それなのに信じろ……だなんて……』
確かに。
きっと、自分の目でもう目を開けないことを確認して。
温かみのない体に触れることで、その冷たさを確認して。
それが、きっと、自分の脳に刻むことなんだ。
もう死んでしまったんだ、もういないんだ、と。
『だからこうして……終戦を迎えて、この家に戻ってきた後に届いていた“殉國勇士之家”という表札をつけたそうなの。
白木箱が届いても、それでもそれは何かの間違いで、兄は帰ってくる……。
それはまだ幼かったお婆ちゃんの心を苦しめたそうよ。
想像は出来るけど、でもそれは想像に過ぎない。お婆ちゃんがどれだけ辛かったか、苦しかったか……
その幼い心を痛め続けてきたお婆ちゃん、だから私なんかよりも精神的に強い人だよ』
俺よりも幼い子が、
どうしてそんなに胸を痛めなくてはならなかったんだろう……
それが戦争なんだ、それだけで片づけられない、そんな辛い現実。