今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
『お母さーん、凛、戻りましたー』
玄関越しで母さんがそう叫ぶと、中から顔を見せる、よぼよぼと歩く婆ちゃん。
お父さんの仕事がなかなか忙しく、毎年のお盆に帰省出来ていた訳じゃないから、なんだかとても久しぶりな気がする。
『凛、それから清也くん………』
玄関まで出迎えてくれた婆ちゃんの言葉が途中で止まる。
『…………清二兄ちゃん………』
聞こえたのは、“清二兄ちゃん”という言葉。
そして婆ちゃんは俺の顔を見て、その目に涙を溜めている。
………俺が清二さんと似ているから。
もしかしたら清二さんを思い出させてしまったのかもしれない。
『お母さん、この子は私の息子の清也、よ?』
母さんが間髪いれずにそう言うと、婆ちゃんはハッとした顔になる。
母さんの言葉に真実を思い出したかのようにー……
『…………すまないね……。あんまりにも清二兄ちゃんの顔にそっくりだったから』
『平気だよ、婆ちゃん』
俺なら、平気。
婆ちゃんが俺と清二さんを間違えてしまうのも無理ないのは分かってるから。
『……遠くから御苦労さま。
さぁ、中に入りなさいな』
婆ちゃんに言われ、俺と母さんは二人で脱いだ靴を揃えて、中に入っていく。
通されたのは、そこは仏壇が置かれた和室だった。