今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる






『戦艦大和で一緒に戦った、戦友が終戦後に訪ねてきたの。

 “立派な戦死でした”、そう言って………』





お婆ちゃんの言葉はそこで詰まった。



けれど言葉の代わりに、仏壇の雪さんの位牌の横に置かれた布切れを手で取り、私に差しでしてきた。



元は何色だったのだろう……



もう黒なのか茶色なのか分からない色で染まった布切れには番号と名前が書かれていた。








『……お婆ちゃん、これ………』






『兵隊さんの胸元にはね、所属している部隊、それから名前がこんな風に書かれていたの。

 これを持ってきてくれた人が、最期を迎える時までこれを握りしめ、そして米軍に攻撃をしていたと……』








『………最期を迎えるって………』







『それはせいちゃんの血、それが血で染まっているということは胸か肩か……どこかを痛めながらも戦ってくれたという証なの』







……時間が経つと共に、血で染まった布切れは少しずつ色を変えていく。









『…………なんで………?

 どうして……痛い想いをしながらも………』








『“この身は天皇陛下に捧げます”という時代だったの。

 そういう時代だったのよ………』







そんなの答えなんかじゃない………





そんなの答えになんてなってないよ……









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