今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
でもそう言った後で、私は不思議な感覚に襲われる。
右隣にいる少年の名だと思われるものを私が呼んだはず、とても懐かしい人にさえ思える。
心の奥底で私が会いたいと願っていたくらいに、その人に会えて嬉しい気持ちが心をいっぱいにしていく。
昔からこの人を知ってる、そう思えるのに、それでも私はこの人に会うのは初めて……
『雪ちゃん、ここも危ない。
急いでここから出よう!』
その少年は当たり前のように私の手を掴み、颯爽とその場から私を連れ出していく。
私たちが扉を開いてしまったせいで外の空気が一気に建物内に流れ込み、更に火が高くなっていく。
それはもう火の化け物にしか思えない、私は顔だけ振り返り、その様子をそう思った。
『雪ちゃん、もっと早く走って!
時期にここも爆発する!』
私の手を握りしめ、先頭を走る少年がそう叫んだ。
『………爆発って……どういうこと……!?』
私は前を走る彼にそう叫び問いかける。
『あそこは軍需工場、火薬も沢山置いてある!
もう火薬庫に火が回って時期に爆発……』
少年がそう答えたところでドゴーンという凄まじい音が聞こえる。
少年の足と私の足が止まり、振り返ると少し離れた建物のあちらこちらから瓦礫が飛んでくる。
『………なに……なんなのよ………一体なんなのよ………』
目の前に広がるオレンジとも赤とも言えないような火で覆い尽くされた建物、それを見つめながら私はその場に座り込み、そう呟く。
『ここは軍の工場、敵に奇襲されたんだ』
戸惑う私に少年はその場にしっかりと足をついて、落ち着いた声でそう話した。