今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
何も答えられないでいる私を、鷲尾清二さんはサッと抱きかかえた。
『……雪ちゃんはもっと食べてください。
配給でお腹いっぱいにすることは難しいかもしれませんが、これではまたすぐに倒れてしまいますよ』
きっと変わらない、その笑顔。
きっと変わらない、その優しさ。
まだ二回しか会ったことはないけれど、いつだって鷲尾清二さんは守ってくれた、優しい笑顔を見せてくれた。
でもね、なんだか寂しいの。
なんだか胸が張り裂けそうな程、悲しいの……
『私が倒れたら……せいちゃんが起こしに来てくれるでしょう?』
何故だろう。
私は雪さんでもないのに、“起こしに来ますよ”と言ってほしかった。
せいちゃんと約束が欲しかった。
『………私はいつだって、雪ちゃんの傍にいますよ』
そう鷲尾清二さんは優しく諭すように言ってくれたけど。
“起こしに来ます”と、約束はくれなかったー……
そのことに更に胸がズキズキし始める。
気が付けば私は、自分の目から大粒の涙を流していた。
どうして約束が出来ない……
どうして約束をしてくれない……
そう、自分で問いかけるのに。
心の奥深くで、もう一人の私がその答えを叫ぶ。
“彼は戦争に行ってしまうからだよ”、とー……