今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる





それから鷲尾清二さんは一言も話さず、時折私を抱える腕に力を込めながら、私を送ってくれた。







『………ありがとうございます』




お礼を言うと、鷲尾さんはとても切ない表情をしていた。




“どうしたの”と聞けばいい、けれど私は聞くことが出来なかった。










『雪ちゃん、この世に神様はいると思いますか?』



すぐにニコニコの顔になられた鷲尾さんは私にそう、問いかけてくる。









“もし、もし神様が本当にこの世にいるのならば、何故、あなたが戦地に赴く必要があるのですか”




それは私の心に聞こえた、一人の女性の声ー……




不思議な感覚、私の中にもう一人の誰かがいる、そんな感じだった。



でもすぐに分かった、この誰かは雪さんであることをー…









『神様は………とても非情な方です』




自分が意図していないところで私の口が開く。




私の言葉ではないけれど、私の口から発せられた言葉に鷲尾さんは困ったように微笑みながら首を傾げた。








『…何故ですか?』






『神様がいるのなら……せいちゃんが命をかけてまで戦地に赴くことはないでしょう?』





またしても私の意志とは裏腹に口が動く。




いや、もしかしたら、これは雪さんの記憶なのかもしれない。




雪さんの記憶の中にある鷲尾さんとの会話を私がただ聞いているだけなのかもしれない……









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