今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
“軍の工場”
“敵に奇襲”
そのどちらの言葉にもピンとくるものがない。
私はただ目の前に広がる光景に涙を流しながら、その場に座り込むしか出来なかった。
『雪ちゃん、ここも危ない。
どこか頑丈な建物の中に避難しないと、また奴らが奇襲しに来る。
ここを潰すまで奴らは絶対に来る……立って。ここから離れよう』
少年は再び手を差し出すと、私の腕を掴み、その場に立ち上がらせた。
でも足にも力が入らない私、そんな私に気が付いたのか少年は私を抱えこんだ。
『……え……ちょっと……!』
男の子にお姫様抱っこなんてされたことのない私は、少年の行動に驚きを隠せない。
けれど少年は私を抱きかかえたまま、その場を走り出した。
『………あ……あの……私…自分で歩け』
『雪ちゃん、君をここで死なせたりはしない。
僕の為にも君をここで死なせるわけにはいかない』
言葉が遮られたかと思えば、少年はそんな照れ臭い言葉を真面目な顔で言う。