今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
『……米軍の侵攻はいよいよ本土に向かっていると。
そして…それに太刀打ちできるのは……大和だけだと……
せいちゃんも…沖縄に行くのですか?』
『……雪ちゃん。僕は沖縄でもどこでも行きます』
震える雪さんの言葉に、鷲尾さんは凛々しい表情で、そう答えた。
『僕が沖縄に行ったところで神風を吹き上げられるなんて、そんな大口は叩きません。
けれど、沖縄を占拠されれば時期に本島まで攻められることになります。
僕には幸子や雪ちゃんがこれ以上、危険な目に遭うこと、考えたくもありません。
その為なら、そうならない為なら、僕はどこでも行きます。
沖縄でも……敵艦の中でも……そこが地獄だろうとも、僕は行きます』
先程よりもしっかりとした口調で、そう話す鷲尾さんに、私はただ涙だけが流れる。
この時、雪さんの本当の心の声が聞こえた。
神風なんて吹いてくれなくていい……
ただ、せいちゃんが生きていれば、せいちゃんが傍に居てくれれば、それだけでかまわないと。
せいちゃんと一緒に死ねるというのなら、私はせいちゃんの隣にいれるのならば死なんて怖くない、とー……