今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
小さくなっていく、鷲尾さんの背中。
追いかけても、追いかけても、きっと鷲尾さんは雪さんを振りきって歩き出すだろう。
そう思うと私の胸は心苦しかった。
私はその場で泣き崩れていた。
あの背中が完全に見えなくなった時、それは今度こそ永遠の別れになるかもしれない……
失いたくない。
失いたくない。
あの人を失いたくない。
出来ることなら、せいちゃんを縛り付けてでもここにいさせたい。
そう、出来れば、本当にいいのに………
雪さんの締め付けられる程の悲痛の声が聞こえた。
その瞬間、私は鷲尾さんの後ろ姿に向かって走り出した。
『………待って……!』
『……待って………!』
人気のない道を、私はひたすら真っ直ぐに鷲尾さんの背中に向かって叫び、走り続ける。
どうか、どうか、振り向いてください……
その想いを必死に心の中でも叫びながら、走り続けた。
『………せいちゃーーん!』
これでもかという位、振り絞った大きな声で名前を呼ぶ。
その声が届いたのか、想いが届いたのか、彼は振り返った。