今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる





『実は……私もそうなんです。

 耳から入る情報、鼻から分かる情報、手や足の感覚、その全てが確かに私の体でなされているんです。

 でも…自分が意図していないのに勝手に動いたり、別の人の心の声が聞こえたりして…

 まるで誰かの体に心だけ自分自身が入り込んだような……上手くは言えないんだけれども……』



自分自身でも分かる、説明が下手すぎって。


でも、上手くこの感覚を説明できない。



私の説明に少年は理解出来ただろうか、私は少年の顔を覗く。





『俺も上手くは言えない。

 けど、多分、あんたと同じだと思う』



私たちがどれほど理解し合うことが出来たかは分からない。



でも、お互いに分かるのは、説明するのが難しい感覚、されどそういう感覚を夢の中で実際に経験しているということ。








『……もしかして……。

 あなたの夢、鷲尾清二さんっていう人が出てきませんか?』



鷲尾清二さんが出る、というよりも。

鷲尾清二さんの記憶をあなたも見せられている
んじゃないですか、そう問いかけたかった。






『……あんた、何者?』





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