今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる









『俺は、結城清也って言うんだ。

 なんかよく分からないけど、小雪のことは昔から知ってる気がする。

 まぁ……宜しくな』





少年は真っ直ぐにその手を伸ばす。




それはまるで握手を求められているよう。




初めて会った少年、けれど不思議と前から知ってるような気がする。




求められた握手を交わしてもいいのか、戸惑う私に少年は簡単に私の手を握ってきた。




手と手が触れあい、手と手が握り合った、そこから伝わる優しい温もり………




私、やっぱりこの温もりを知ってる。



ううん、この温もりをずっと待っていたような気がする。












『………私も結城君のこと、ずっと前から知ってる気がする。

 夢の中で会った鷲尾さんにそっくりだから、知ってる気がするのかな。

 こちらこそ、宜しくお願いします』










『あ、俺、普通に“小雪”って呼んじゃったな。

 わりぃ、俺、あんま名字に呼ぶ習慣なくてさ……』




私と握手している手とは逆の手で首を掻きながら、少年はそう言った。









……うん。


私、初対面で呼び捨てとかあまりない。


そういう経験がない、いつも“小雪ちゃん”とか“寺本さん”とかって呼ばれてたから。






けどね………



不思議なんだけど、結城君に呼び捨てされても、逆にしっくりする。



しっくり、っていうか、むしろずっと前からそう呼ばれていたような……



なんか違和感もないし、不快だなって思うこともないんだよね………










『あ、全然!

 全然違和感感じない、むしろ全然いい……』



自分の言葉に、自信がなくなった。



どうして私はもっと綺麗な文章として相手に伝えられないんだろう……









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