今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
『いくつ撃っても撃っても米軍を撃墜させることは難しくて。
夢中で撃っていたら……弾がなくなった。
鷲尾さんが“弾をくれ”と叫んだ時は、甲板が真っ赤な血で歩けない位だった。
その中で弾を運ぶ人の姿が見えてもらおうと必死だったよ……。
けど……“弾をくれ”って叫んだ時、弾を運んでいた奴は口から血を吐きだして打たれた心臓を押さえるかのように倒れていった。
もうさ………感覚が麻痺していたのかもしれない……いや、そんなことに一々動揺しているだけの余裕がなかったのかもしれない。
至る所々での悲惨な光景に、それでも攻撃の手を緩めない米軍を打ち負かしてやりたくて、その一心で気が付いたら弾を取りに行ってた。
けど………もっと悲惨だったよ………』
俯いた結城君、横にいる私が分かるのは微かに彼の体が小刻みに震えているということ。
私は結城君の話を想像するだけ、だけど結城君は鷲尾さんの記憶としてハッキリとそれを見た。
私よりもきっと、苦しくて、悲しくて、痛くて………
私よりもきっと、目を瞑って、耳を塞ぎたくなる、そんな記憶だったはずー……
『弾を取りに中に入った時、初めに会った奴は全身血だらけだった。
沢山の真っ赤な血を流しながら、そいつは床に落ちているものを自分の体につけようとしているんだよ……。
“俺はまだまだやれる”そう言いながらさ……腹が裂けて、飛び出した内臓を必死で体内に戻そうとさ………。
驚きと共にあまりのグロテスクな光景に思わず吐き気がして……足はすくんだ……。
けど、その数分後にそいつは目の前で倒れて、二度と動かなかった………』
どれだけ………どれだけなの………?
お腹が裂けて、内臓が体内から飛び出すって………
普通じゃないよ………
すっごい痛くて痛くて………仕方なかったはずなのに……。
どうして……それでも……戦おうとしたの……?