今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる









『その先を進んだ時、他の班の班長が上半身を脱いでいるのが見えた。


 “俺もお前たちの後を追う”そう叫んだかと思えば、班長は自分の腹に短刀を刺してた。

 
 もう気が動転しそうだった……どこを歩いても死体で……必死になって弾をもらいに行ったさ……。

 
 弾を取って、再び外へ出た時、そこはもう真っ赤な血の海、あちらこちらから火が出ていて……そう悲惨な光景に立ち止まった瞬間、船が大きく揺らいだんだ。


 それが何十回かあって、そして“総員退去”の声が聞こえたんだ。

 けど……無数に倒れている仲間……遺体の一部のみだけ転がっている様子に鷲尾さんは再びび3連装機銃に向かって行った。


 逃げなかった………鷲尾さんは射手席に座り、そして心臓の少し上を撃たれてもそれでも尚、あの人は撃ち続けた。


 すぐに船は海の底へと沈んでいったけど……』








結城君の話す、それが鷲尾さんの最期ー……






鷲尾さんはどれほどの悲しみを見ただろう。


鷲尾さんはどれほどの憎しみを抱いただろう。


どれほどの思いで射手席に座ったと言うのだろう……








そして結城君はそれが例え誰かの記憶だとしても、それでも鮮明にその姿を見ていた訳で……




それはどれほどの痛みを伴うもので、どれほど辛い光景だったんだろうか……












『……鷲尾さん、最期の最後まで雪さんのことを想ってた。

 
 雪さんが米軍からの攻撃に逃れようとする姿を想い浮かべては、首を振り、何度も米軍を撃ち落とそうと必死になってた。


 鷲尾さんにとって雪さんはそれほどまでに大切な存在だった、それだけは俺でも理解出来た。


 あの人は、きっと雪さんを守るためにこうして戦ったんだ、そう思った……』











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