今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる









『俺さ。考えるんだよ、てか考えちゃうんだよ。

 この夢を見てからさ……この夢を見させる本当の理由はなんなんだろうって。

 戦争はこんなにも人を変えてしまう、悲しいものだからするなってことなのか。

 それとも別の理由があるんじゃないのかって…』












『………私も思う、何度も問いかけてる。

 この夢は私に何を伝えたいのかって……』








そんなの私が何度、頭を捻ったところで分かるはずはないんだけど。



それでも考えてしまうの、この夢を見させる本当の理由は、って。














『……もしさ。

 鷲尾さんの生まれ変わりが俺で、雪さんの生まれ変わりが小雪だとして。


 俺と小雪がこうして会ったことにも何か関係するものがあるのかね……』












『………確かに。

 結城君と住んでるところだって違うし、ここに来ることがなかったら会うこともなく過ごしていたかもしれないよね……』








私の言葉に結城君は黙って、私を見つめる。



結城君の瞳がとても真っ直ぐで、私はそれに捕らわれて動けなくなる。












『俺達さ。俺は鷲尾さんが残した未練を、小雪は雪さんが残した未練を失くしてやるために会ったのかもな』










結城君は鷲尾さんの未練を、


私は雪さんの未練を失くすため………










『……そうかもしれないね。

 だから、結城君は鷲尾さんの記憶を夢として、私は雪さんの記憶を夢として見ているのかもしれない。


 もしかしたら鷲尾さんも雪さんも未練を残して困っているのかもね』









私たちが話すことはただの仮定。


空想、妄想、仮想、どの言葉が正しいのかは分からない。




けれど、そうなのかもしれない。




だから私たちは記憶を夢にして見せられているのかもー………







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