今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
『まぁ、いいからいいから』
半ば強引に手を引かれ、私はサンダルを履く。
サンダルを履いているうちも結城君は私の手を引く。
『………行ってきます!』
何も持たず、メイクも直せないまま、私は玄関からお婆ちゃんに聞こえる声で叫んだ。
『ね!結城君!今から会う人って、どんな人たち?』
私は急ぎ足で歩く結城君の背中に問いかける。
も、結城君は振り返ることもせずに淡々と歩いていく。
『ね!結城君の友達でしょ?どんな人?』
私がもう一度、結城君に問いかけると、結城君はピタッと足を止めた。
そして勢いよく振り返る。
振り返ったかと思えば、結城君は私の顔をまじまじと覗き込む。
『ね、俺の名前、呼んでみて』
結城君は少し低い声でそう言ってきた。
“俺の名前、呼んでみて”って……突然どうしたんだろう……?
『…………清也………』
『これからさ、駅で待ち合わせてる奴に会う時は俺のことは名前で呼んで。
それから俺の話に全部合わせて』
結城君がとても真剣な顔つきで話すものだから、私は余計に戸惑う。
どうして結城君の友達に会うのに、結城君の名前を呼ばなきゃいけないんだろう……
俺の話に全部合わせてって……どんな話?
何も打ち合わせもなくて合わせられるかな?
『いい?』
結城君はそう問いかけてくるから、私は訳も分からないまま頷いていた。