今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
『………なんで来んの?』
結城君はその女の子の元に着くと、開口一番にそう言った。
その声は何か怒ってるような声で、私はドキッとした。
結城君のそういう声を私はまだ聞いたことはなかったから。
『開口一番にそういう言い方、清也らしい。
なんで来んのって聞くけど、ここまで来た理由は一つしかないじゃない』
結城君の声色にも冷静に受け答えする、その女の子。
近くまで来たところで女の子の顔がよりハッキリと見える。
目はぱっちり二重、鼻筋もすっとしていて、唇もこれまたプルプル、同じ女から見てもドキドキしてしまうほどの可愛い女の子だった。
可愛い、いや綺麗、どっちの言葉も使える、それほどまでにとても素敵な女の子だった。
『理由なんか知んない。
てか、俺達、夏休み始まる前に別れたじゃん。
だから来るなよ』
結城君がその子に放った言葉に、私は唾を呑みこむ。
彼女…かなとは思っていたけど、やっぱりそうだったんだ。
『別れた?
冗談言わないで。あんなの清也が勝手に決めたことじゃない。
私の気持ちなんて聞かずに、ただ一方的に決められて……納得いかなかったの。
だから、ここへ来たのよ』
美人は怒っても綺麗、そう思えるくらい、その女の子は怒った姿も凛としていて美しかった。
『ね、私のこと、嫌いになったの?
私が何か清也に悪いことでもしたの?
ね、教えてよ……本当の理由』
結城君が答えない間も、その女の子は結城君を見つめていた。
とても真剣な瞳で。