今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
『さくらのこと、嫌いになった訳じゃない。
けど、さくらより好きだと思える子が出来たんだ』
結城君は言い終わると同時に私の手を強く引き、私の姿をその女の子の前に出す。
突然の事の成り行きに私は頭が真っ白になって、視線も右に左に泳いでいる。
『この子が清也が好きになったって子?』
さくらさんと呼ばれた女の子は私のことを頭のてっぺんから足のつま先までよくよく眺め、そしてため息をひとつ吐いた。
そのため息は……私の容姿にため息、ということでしょうか。
もちろん、さくらさんと呼ばれた女の子より私は全然劣っていますが、それでもため息をつかれる程の容姿ってことなのかと思うと悲しい。
『そうだよ。寺本小雪って言うんだ。
俺のすっげー大切な女』
悲しみに押しつぶされそうになっている私に、結城君の言葉が体全部に聞こえる。
結城君の言葉にどこの器官もドキドキしてる。
………でも、私と結城君はただの友達、だよね?
結城君に“すっげー大切な女”とか言われるのはおかしいよね……
“俺の話に全部合わせて”
さくらさんに会う前に結城君が言っていた言葉が脳裏を横切る。
……そっか。結城君は私にこの話に合わせろってことか。