今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる






『……………』






無言で結城君は私を見つめている。




私は落ち着かない心で結城君を見つめる。




なんだか落ち着かない心に悲しいという感情が加えられた気がする。








だって、なんで結城君にキスされてんの……?



結城君はただ、さくらさんを追い返したいだけでしょ?



それでどうして私が結城君とキスしないといけないの…?











『俺は、好きな女しか触らない。

 さくらに触れたいとかこれっぽちも思わない。


 小雪にしか触れたくない』








静かに、静かに、そう話す結城君。







好きな女しか触れないって……



私はただのさくらさんを追い返す為の存在でしょ?







好きでもない女に、結城君は触れてるじゃない………











『………そうね。私といる時は私にしか触れなかったもんね。

 けど、突然…清也の態度が変わって……私、納得できないよ…!』







さくらさんがそう言葉にした時、結城君の顔が少し歪んだように見えた。







結城君のキスも、


結城君の言葉も、


結城君のその顔も、



私、分からないよ……






分からない位、心がズキズキする。








なんでかな、なんでこんなに胸が痛いんだろう………












『あ、私……用事を思い出しちゃって……。

 あの……私、帰ります…!』







ここにいるのが苦しくて、悲しくて、私は逃げを選んだ。




そう二人に言って、踵を返して、足早にその場を逃げ出した。











< 69 / 150 >

この作品をシェア

pagetop