今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
立ち上がると、そこには美しい自然が目の前に広がる。
海も透明な色で、何度も波をこちらに押し寄せてくる。
とても戦争をしているという感じはしない。
それに鷲尾さんの服もセーラー服のような黒地の服なんかじゃない。
『鈴ちゃんも喜んでくれるといいですね』
そう言って鷲尾さんは砂浜に置かれた一枚の絵を拾い上げる。
そこには可愛らしい女の子の絵が描かれていて、その横には“鈴ねぇ、お誕生日おめでとう”と書かれていた。
鈴ねぇ……そういえば私のお婆ちゃんの名前も確か“鈴”だったよね。
お婆ちゃんの誕生日にこの絵を贈るつもりなのかな……
『雪ちゃんは、誕生日にどんなものが欲しいですか?』
鷲尾さんが突然問いかけてきて、私は鷲尾さんを見つめる。
誕生日にどんなものが欲しいかー………
『私の欲しいものは、ずっと前から一つだけです』
私の唇は勝手に動いて、そう鷲尾さんに返していた。
あ、そっかー……
これは夢の中といっても、これは雪さんの記憶なんだ。