今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる








立ち上がると、そこには美しい自然が目の前に広がる。



海も透明な色で、何度も波をこちらに押し寄せてくる。




とても戦争をしているという感じはしない。




それに鷲尾さんの服もセーラー服のような黒地の服なんかじゃない。











『鈴ちゃんも喜んでくれるといいですね』




そう言って鷲尾さんは砂浜に置かれた一枚の絵を拾い上げる。




そこには可愛らしい女の子の絵が描かれていて、その横には“鈴ねぇ、お誕生日おめでとう”と書かれていた。




鈴ねぇ……そういえば私のお婆ちゃんの名前も確か“鈴”だったよね。



お婆ちゃんの誕生日にこの絵を贈るつもりなのかな……













『雪ちゃんは、誕生日にどんなものが欲しいですか?』




鷲尾さんが突然問いかけてきて、私は鷲尾さんを見つめる。





誕生日にどんなものが欲しいかー………










『私の欲しいものは、ずっと前から一つだけです』



私の唇は勝手に動いて、そう鷲尾さんに返していた。






あ、そっかー……




これは夢の中といっても、これは雪さんの記憶なんだ。









< 71 / 150 >

この作品をシェア

pagetop