今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
『じゃ、僕が18歳になったら。
雪ちゃんの欲しいものを雪ちゃんに贈るよ』
鷲尾さんはそう言うと、雪さんの手と繋いだ。
それは当然のように、自然に雪さんと手を絡み合わせた。
『じゃ、約束!
18歳になったら、私の欲しいものを頂戴ね』
『いいよ。だから僕が18歳になったら、雪ちゃんも僕との約束、守ってね』
鷲尾さんの言葉に、雪さんも鷲尾さんも目を見合わせて微笑んでいる。
この様子を幸せの言葉以外になんて言えるだろう………
お互いに“好き”の言葉を出していないのに、それでもこの二人からは伝わってくる。
相手を想って、相手に想われて、なんだか素敵だなって思った。
私にはまだそんな経験がないからー……
羨ましくなった、こんな風に想い合える姿が心から羨ましかった。
『……ねぇ、せいちゃん。
せいちゃんは戦争に行ったりはしないですよね……?』
雪さんは震える声で鷲尾さんに問いかけていた。
今までの優しくて甘い雰囲気から一変した気がする。
『僕はまだ学生です。
雪ちゃんと同じ学生ですから、戦争には行きませんよ』
………え?
“戦争には行きません”って………
あ、そっか……これはきっと鷲尾さんが海軍に志願する前の話だ。