今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
『じゃ、幸子、楽しみに待ってるね!』
幸子さんはそう言って微笑む。
幸子さんの笑みに鷲尾さんも優しく微笑んだ。
そして雪さんも鈴さんも、ニッコリと微笑んでいる。
それは本当にありふれた幸せかもしれない、けどみんなの笑顔が輝いていた。
こんなに幸せな笑顔で溢れている、そんな想い出があるのに。
戦争はこの幸せを奪っていくー……
『こんな光景がずっと続けばいいな……』
沢山の笑顔と幸せな雰囲気の中で、雪さんはポツリと呟く。
どうして雪さんはこんなにも不安を抱えているんだろうー…
さっきも鷲尾さんに戦争に行くのか、と問いかけていた。
『雪ちゃん、みんなが集まれば幸せはずっと続きます』
鷲尾さんが逞しく答えると雪さんは“そうですね”と答える。
けれど雪さんの心の声が聞こえる。
“でもね、せいちゃん……。
私、知ってるんだよ?
せいちゃんが海軍に志願しようとしていること。
さっき、せいちゃんの家に迎えに行った時、志願書を見つけちゃった”
………鷲尾さんが海軍に志願?
そっか、雪さんはその志願書を見つけて、鷲尾さんが海軍に入隊しようとしていうこと、知ってたんだ。
だから、ずっと不安で。
だから、ずっと心配で。
『大丈夫。この幸せは僕が守ります』
鷲尾さんの言葉に、私の目からは涙が零れ落ちる。
いや私、ではなく、雪さんの目から涙が零れ落ちる。
“この幸せは僕が守ります”
鷲尾さんのその一言は、きっと海軍にすることを決めた、そう言っている。
だから、雪さんの目からは涙が零れ落ちたんだー……