今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
『………出来ないよ……。
もし……もしものことがあったら……あの約束はどうするの!?
あの約束は……せいちゃんじゃなきゃ叶わないのよ……!?』
雪さんは手で拳を作ると、何度も鷲尾さんの胸にそれをぶつけていく。
『………せいちゃんじゃなきゃ………』
雪さんの言葉に、鷲尾さんは雪さんの手を掴む。
そして雪さんを真剣な瞳で見つめた。
『僕は死にません。
雪ちゃんとの約束、必ず果たします。
でもね、雪ちゃん。
僕が18歳になった時、それでも日本が戦争を続けていたのなら、この街も戦場になってしまうかもしれない。
僕は、戦場になった、この街で雪ちゃんを幸せにしたいとは思えない、思いたくない。
この街で、沢山の人の笑顔に囲まれながら、僕は雪ちゃんを幸せにしたい。
だから、僕は行くんです。
だから、雪ちゃんにも笑顔で“いってらっしゃい”と言ってほしい……』
鷲尾さんの言葉に、雪さんはどう返していいか困っている。
心の中では“行かないで”“志願なんて取り消して”“ずっと傍にいてよ”と叫んでいるのに、雪さんの叫びは言葉となって鷲尾さんの元に響かないー……
『明日、志願書を出すつもりです』
雪さんが困っているというのに、鷲尾さんは淡々とそう話す。
決定事項だ、そうも聞こえる鷲尾さんの言葉に、私もどう考えていいか分からなかった。
当事者の雪さんは、もっと分からなかったと思う。
『大丈夫。
僕と雪ちゃんは、魂で繋がってる。
だから……僕に何があっても、雪ちゃんの魂を僕は見つける。
忘れないで?
僕と雪ちゃんの魂は繋がってるんだ。
どんなに離れても、どんなに会えなくても、それでもこの魂はまた出逢うように繋がっているんだよ』
どんなに離れても、
どんなに会えなくても、
それでもこの魂はまた出逢うように繋がっている………