今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる







『…………鷲尾さんが海軍に志願する時の夢』




腰を叩いていた結城君の手が、私の言葉で止まる。



私は結城君から前に視線を変えて、歩き出しながら、言葉を続けた。










『鷲尾さんと雪さん、大事な約束をしていたんだ』






『大事な約束?』







『……うん。あのね、鷲尾さんが18歳になったら結婚したいっていう約束。

 二人の会話の中に“結婚”っていう文字は明らかじゃなかったけど、話の流れからそうだと思う。


 けどね……鷲尾さんは雪さんや妹の幸子さんを守るために、海軍に志願するって……』







私の話に結城君は黙って聞いてくれた。









『……あんなに想い合っているのに、好きだから海軍に志願なんてしないでと望む雪さんに、好きだから守るために海軍に志願しようとする鷲尾さん、そんな二人の意見は交わらなくて……。


 でもね、鷲尾さんが雪さんに言うの。


 “僕と雪ちゃんは、魂で繋がってる。どんなに離れても、どんなに会えなくても、それでもこの魂はまた出逢うように繋がっているんだ”って………』










『………じゃ、俺と小雪が出逢ったのも二人の魂が繋がってるからなのかもしれないな…』








結城君がポツリ、そう言葉にする。



私も雪さんの記憶に触れて、そう思った。








前世で叶えることが出来なかった。



雪さんを想う鷲尾さんは生まれ変わり、結城君に前世の記憶を見せる。



鷲尾さんを想う雪さんは生まれ変わり、私に前世の記憶を見せる。







それは、この人が魂で繋がっている人だと知らせるかのようにー……











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