今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
『………今日、横浜から来た結城君の友達、実は結城君が付き合ってた子だったんだ。
夏休みが始まる前に、その子とは別れちゃったらしいんだけど。
その子はまだ結城君のことを忘れられなくて、わざわざこっちまで来たみたいなの』
お婆ちゃんは私の話に何か問いかけるでも、何か言うでもなく、ただ“うんうん”と頷きながら聞いてくれた。
それが何故だが心地よくて、私は更に言葉を続ける。
『結城君はもう別れたって言ってたけど。
私は……結城君の友達っていうから男の子の友達が来るんだって思ってたし、でもそれが女の子で、しかも元カノで。
なんか……すっごい胸が痛かった。
まだ知りあって、知らないことの方が多いけど、それでも結城君は私にとってなんか特別なの。
クラスの男子には感じられないくらい、結城君といると安心して……』
こういう苦しみを恋っていうのかな、とか。
こういう安心感は恋をしているからなのかな、とか。
勝手にそう思って、そう考えて、
『………結城君に好きって言っちゃった…………』
私の言葉にお婆ちゃんが少し驚いた顔をしている。
『………自分でもね、まだ出会ったばかりで好きになるとかおかしいとか思う。
でも……なんか好きなの。好きだと思ったの。もっと好きになりたいとか思ったの……』
『小雪ちゃん、お婆ちゃんは恋は出会ってからの時間なんて関係ないと思うよ。
お婆ちゃんはたったの三回、それも一言二言交わすくらいしかしていない人を好きになったことあるしね』
『………たったの三回?』
私が聞き直すと、お婆ちゃんはニッコリ微笑んで、“そうだよ”と答えた。