今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる













『特攻兵だとすれば、彼は二度と戻らない。

 あの清々しくて、凛々しい、あの顔をみることも二度とない。

 あのにっこりとした可愛らしい、あの笑顔を見ることも二度とない……。

 そう思ったら、私の目からは涙が零れ落ちていたの。

 誰にも気付かれてはいけない……だってその人は“お国の為に”行くのだから。

 必死で涙よ止まれと言い聞かせた、それでも頭の中を流れるのは清々しくて、凛々しい、そして可愛らしい笑顔。

 心の中に聞こえるのは、彼の声。

 失うのが惜しくて、失いたくない、そう思ったわ……』








二度と、見れない………



その人の顔を見ることさえできなくなるー………






そうだよね、“死ぬ”ってことは、そういうことだよね。




会いたい時に、会いたいと思っても会えない。


声が聞きたい時に、聞きたいと願っても聞けない。


触れたいと思う時に、触れたいと祈っても触れることが出来ない。






……そういうこと、なんだよね……







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