今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる









『……彼は私の心に、まだ生き続けている』










『………お爺ちゃんは?』








お婆ちゃんの竹内さんの想いは理解できる。



理解できるものがあるけど、それでもお爺ちゃんはそれを知っていたんだろうか。



知らないところで、お婆ちゃんが他の誰かを想っているなんて……








……でも、待てよ……




確か、お母さんの旧姓って“竹内”だったような………












『お爺ちゃんは全て、知っていましたよ。

 だって、お爺ちゃんは竹内さんのたった一人の家族、大切な弟でしたから』






お婆ちゃんはそう言い、そして縁側からお尻を上げて立ちあがった。



夕日に照らされたお婆ちゃんの背中、夕日のせいでお婆ちゃんの姿が見えなくなるほど眩しく感じた。











『終戦から半年が経った頃、お爺ちゃん、朔太郎さんが私のところにいらしたの。

 「兄の幸太郎がこれを弟に渡して欲しいと、出撃の日、上官に僕宛に渡されたそうです。」そう言って私に幸太郎さんの遺書を渡しに来てくれたの』






お婆ちゃんはそう言うと、縁側から仏壇の部屋に入っていく。


私はその後を追って、仏壇がある部屋に入っていく。










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