今度こそ、ずっと、あなたの隣にいる
『それからも朔太郎さんは訪れる度に、いつも私の身を案じて、そして「兄の代わりに僕があなたを支えます」と言ってくれていてね。
「兄を忘れられていないままでいい、兄を好きなままでいい、そのままでいいから、兄の代わりに支えさせてください」そう言われた時、この人の願いがそれだと言うのなら私は甘えさせてもらおうと思った。
それで、終戦から10年が経った頃、私は朔太郎さんと結婚したの。
幸太郎さんはたった三回、それも交わした言葉は本当に少ないのに、それでも私はすぐに幸太郎さんを好きになれたのにね……。
恋は期間なんか関係ない、恋は心、もしかしたら魂が惹かれ合って恋をするのかもね』
魂が惹かれ合って恋をするー……
お婆ちゃんの言うことが正しいなら、私は魂で結城君に惹かれたのかな……
雪さんの生まれ変わりである私が、鷲尾さんの生まれ変わりである結城君の魂に惹かれるなんて当たり前かー……
でも、結城君は鷲尾さんの生まれ変わりであっても、結城君は結城君。
鷲尾さんの生まれ変わり、じゃなくて、私は結城君のことをもっと知りたいな。
どんな時に笑うのか。
どんな時に心細くなったりするのか。
どんな時に人を愛おしく思ったりするのか。
………知りたいな。
もっと、もっと結城君のことを知ったら、もっと結城君を好きだと思える気がする。