Airis
「沙衣さん、分かりやすいね」
そうからかって、的場先生はポケットからケータイを出してどこかへ連絡を始めた。
お仕事の連絡ならわたしは出た方がいいんじゃないか、と思いながらも出られずに突っ立ったままのわたし。
「ちょっと2番来な………うん、そうそう、じゃあねー」
話を終えた的場先生は、
扉近くに立っていたわたしに手招きしてもう一度椅子に座らせた。
診察はもう終わりだと思ってた………
「ちょっと追加ね」
そう言ったにも関わらず、
なかなか始まらない。
「あの………先生?」
不思議に思って声をかけたちょうどその瞬間に、診察室の扉がガラガラと音をたてて開いた。