Airis
「俺は真鍋威(たける)。別に何でも呼んでくれて平気だけど………敬語は無しね」
「………じゃあタケルって呼ぶ!」
「ふふ、いいね。よろしく沙衣」
「よろしくタケル」
病院の前でずっと〝沙衣〟〝タケル〟って呼び続けて、出てきた人にびっくりされたところで、
ふたり顔を見合わせてふふっと笑った。
タケルは……わたしにとって初めての恋人だ。
昔から告白されたことはあったけど、
今まで誰とも付き合いたいと思ったことがなかった。
だけどタケルは、あのとき助けてくれてわたしにとってヒーローに見えて。
ちょっと2割増しに見えたのかもしれないけど、それでももっと知りたいって初めて思った。