Airis
「嫌いっていうか……」
「苦手?」
「うん」
よくあるパターンだ。
嫌いじゃない、苦手なだけ!
っていうの。
でも……
「好き嫌いは体に悪いから食べた方がいいよ」
「…やっぱり、タケルお医者さんだから言うと思った」
残念そうに肩を落とす。
「………やっぱりこういうの面倒?」
医者、っていうのが沙衣の重荷になったら嫌だ。
付き合っていくなら、
俺が医者であることも理解してもらった上で付き合いたいと思っている。
「ううん、タケルがわたしのために言ってくれてるって分かるから」
ふふっと小さく笑う沙衣が、
俺には天使に見えた。