Airis
「さーえ」
俺がちょっと沙衣に見惚れた間に、
こそこそとニンジンを俺の皿に移していた。
「えー、だって……」
「もう……じゃあ今日は特別。さっき1個食べたから」
パクッとニンジンを食べると、
尊敬の眼差しで見てくる。
………そんなに凄いことじゃないけど。
ニンジンが嫌いなんて、
やっぱり沙衣は子供っぽい。
もしかしたら他にも嫌いなものあるかもしれないし。
そんな沙衣の嫌いな食べ物を知った初めてのディナーは、
なんだかんだ楽しく終わった。