Airis
『え、優苗?!泣いてるの?』
「…だ、大地……グスッ…」
『どうした?』
ぽろぽろこぼれる涙を手で拭って、
鼻水をズズっとすってから。
「あのね………赤ちゃん…できた」
『………』
ふたりの間に流れる沈黙。
『赤ちゃんって、え?子供?………子供できたの?!』
「……うん」
『えー!わー、俺今から帰る!』
電話の向こうで嬉しそうに叫ぶ大地に
笑ってしまう。
「ふふっ、大地仕事でしょ」
医者の仕事を放り出して来るのはさすがにダメだ。