Airis
「ん、する……貧血だと、思う」
「貧血?………もしかしてそれで寝てたの?」
こくっと頷くと困ったように頭を掻いて。
「わー、ごめんな。全然気付かなかった」
「ううん……大丈夫…」
「……じゃないよな」
よいしょ、とわたしの体を抱えて
タケルは劇場を出る。
「沙衣、とりあえず目つぶってて」
言われたとおりに瞼を閉じれば、
スーッと引き込まれそうな感覚。
「沙衣、意識は保ってて。すぐ楽にしてやるから」
うん………と答えた気がするけど、
なんだか頭がぼーっとしていてよくわからなかった。