Airis
「ん………優苗?」
寝室の扉が開いて、
目を擦りながら大地が出てきた。
起きなきゃと思えば思うほど体は言うことをきかなくて。
辺りに散らばった薬をかき集めながら、大地がわたしの傍にやってきた。
「具合、悪いの?」
ううん、と首を振るけど
おでこに大地の冷たい手が触れた。
「……熱あるじゃん」
棚から体温計を出して脇に挟んで、上から大地の手がわたしをギュッとした。
「……動くな」
熱があっても恥ずかしいという感情は正常に働く。
もぞもぞと動いていたわたしを大地の声が一喝した。
ピピッと鳴った体温計をそっと抜き取って、
「38度6分」
予想以上の体温が告げられた。