Airis




「起こしていいっていつも言ってるだろ」



わたしを離して立ち上がった大地は、
薬箱を元に戻しながらそう言った。



……でも、どうしても寝ている大地を起こすのは気が引けるんだもん。



「ほら、前髪上げて」



言われたとおりにすると、
おでこにペタッと何かが貼られた。


……冷たい



「これ貼って、薬飲んで、寝れば治る」



わたしの不安を知ってか知らずか、
そう言うとコップと薬を用意してくれた。


「優苗、飲め」



……飲むよ、飲むけど。


錠剤は苦手だ。
粉薬はもっと苦手。




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