Airis
「……ッ…けほっ…」
泣きすぎて咳が出てきた優苗の背中をさすりながら、
看護師が持ってきた吸入器をセットする。
「はい、顔あげて」
そう言いながらも無理やり上げさせた優苗の口に吸入器をあてて、
「はいゆっくり吸ってー………吐いて」
と声をかける。
嗚咽を漏らしながらも必死に上手く吸おうとする優苗が、なんだか健気で変わってやりたくなった。
医者をやってると、変わってやりたい患者なんかいくらでもいる。
だけどそう思うことが失礼な気がして。
俺たちが治さなきゃいけないのに、変わってやりたいだなんて。
そう思っていつも俺たちも必死なんだ。