Airis
「はい終了、頑張ったな」
吸入器を外してもう一度横にさせる。
体が怠いらしい優苗は、
完全に俺に体重を預けていた。
「点滴して向こうのベットで寝とくだろ?」
嫌だと言ってもそうするしかないけど。
そっと差し出された腕は、
分かったということだろう。
いつもは点滴を嫌がる優苗が自分から腕を出すなんて珍しい。
「ちょっとチクッとするから」
と言いながらサッと優苗の腕に針をさす。
血管の細い優苗の腕は、
主治医となって2年経っても未だに緊張する。
「じゃ、目覚めたら呼んでいいから」
診察室の奥にあるベットに優苗を寝せて、自分は次の患者のために診察室へと戻った。