Airis




「すみません、勝手に連れてきてしまって」



初対面の人を自家用車に乗せるのもどうかと思ったけど、今回はしょうがないと後ろの座席を倒して座らせた。


後ろを振り返るとタオルで押さえてじっとしている彼女。



「………いえ、ありがとうございます、こんなことまで…」



どことなく顔色が悪く、
話し方も途切れ途切れで息苦しそうだ。



「大丈夫ですか?」



駐車場を出てすぐの信号を待ちながら声をかけると、



「血が苦手なもので…」



とかえってきた。






< 84 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop