Airis
「すみません、勝手に連れてきてしまって」
初対面の人を自家用車に乗せるのもどうかと思ったけど、今回はしょうがないと後ろの座席を倒して座らせた。
後ろを振り返るとタオルで押さえてじっとしている彼女。
「………いえ、ありがとうございます、こんなことまで…」
どことなく顔色が悪く、
話し方も途切れ途切れで息苦しそうだ。
「大丈夫ですか?」
駐車場を出てすぐの信号を待ちながら声をかけると、
「血が苦手なもので…」
とかえってきた。